検査の日に限って寝れない…どうしたら?
「やっと睡眠時無呼吸症候群の検査日が決まったのに、緊張して寝れなかったら意味がない…」
「慣れない病院でちゃんと眠れるか不安」
そんな不安を抱えている方は少なくありません。
実際、「睡眠時無呼吸症候群 検査 寝れない」と検索する人が多いのは、検査が“眠ること”を前提にしているからこそ、寝れない不安が検査の成否に直結するためです。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査内容をわかりやすく説明しながら、「寝れなかったらどうなるのか?」「効率よく眠る方法」まで、具体的かつ実践的にお伝えします。
睡眠時無呼吸症候群の検査ってどんなもの?
主な検査の種類
睡眠時無呼吸症候群の診断に使われる検査には、主に2種類あります。
検査名 | 概要 | 実施場所 |
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簡易検査(PG:ポータブルモニター) | 自宅で行える/鼻のチューブや指のセンサー装着 | 自宅 |
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG) | 脳波・筋電図・呼吸・心電図など全身を計測 | 医療機関(入院) |
このうち、**本格的な診断の決め手になるのがPSG(ポリソムノグラフィー)**です。
PSG検査の流れと注意点
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夕方〜夜に病院へ入院
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脳波・筋電図・呼吸センサーなどを全身に装着(20カ所以上)
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ベッドに横になり、検査技師の監視下で一晩眠る
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翌朝までデータ収集 → 無呼吸指数(AHI)を算出し診断
ここで多くの人が感じるのが、「こんな状態で寝れるのか?」という疑問です。
検査中に寝れないとどうなるのか?
結論:寝れなくても一定のデータが取れればOK
まず大前提として、検査中に完全に眠れなかった場合でも、多くのケースで診断は可能です。
睡眠時間が短くても、一定時間の睡眠中に無呼吸や低呼吸が確認されれば、その回数をもとにAHI(無呼吸低呼吸指数)を算出できます。
ただし注意点として:
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まったく眠れなかった場合(脳波に睡眠が出ない)
→ データが不足し、再検査になる可能性があります。 -
眠りが浅かった場合
→ 正確な評価ができない可能性があり、軽症と判定されやすくなるリスクも。
PSG検査における「最低限の睡眠時間」は?
一般的には、4時間以上の睡眠時間が推奨されています。これは、各睡眠段階(レム睡眠・ノンレム睡眠)をある程度網羅できるためです。
ただし、睡眠障害が重度の場合、短時間でも明らかな無呼吸エピソードが多数出るため診断は可能です。
寝れないことによる心理的な影響
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「寝なきゃいけない」というプレッシャー自体が逆効果になることも
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寝れなかったことを責めすぎると、睡眠恐怖症や検査回避に陥る可能性も
こうした背景からも、「無理に眠ろうとせず、リラックスすること」が非常に大切になります。
寝れない原因は?よくあるパターンをチェック
原因 | 内容 | 解決策 |
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緊張 | 検査環境への不安・意識過剰 | 呼吸法・瞑想でリラックスを促す |
センサーの違和感 | 多数の装着機器による不快感 | 装着前に不安点を技師に伝える |
明るさや音 | 病院の環境に慣れない | アイマスク・耳栓の持参を検討 |
日中のカフェイン摂取 | 睡眠を妨げる成分の残留 | 検査当日はカフェインを避ける |
寝るタイミングのズレ | 普段と違う時間帯での検査 | 就寝リズムを前日から調整する |
検査で効率よく眠るための10の対策
検査中にできるだけスムーズに眠れるよう、以下の実践的な方法を紹介します。どれも睡眠医学の観点から効果があるとされている手法です。
1. 前日は睡眠を“少し短め”に
前夜にたっぷり眠ってしまうと、検査当日に眠気が足りず寝つきにくくなることがあります。
推奨されるのは「6時間程度に抑えておく」ことです。
2. カフェイン・アルコールは厳禁
検査当日は、コーヒー・紅茶・緑茶・チョコレートなどに含まれるカフェインを避けましょう。また、眠りやすくなるからといってアルコールを飲むのもNGです。
アルコールは一時的に眠気を誘発しますが、睡眠が浅くなる・無呼吸を悪化させるリスクがあります。
3. 検査施設の環境を確認し、持ち物を準備
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パジャマ(普段使いのもの)
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アイマスク・耳栓
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スマホ・音楽プレイヤー(入眠儀式に活用)
これらを活用することで、「普段と同じ感覚」で眠れる環境を再現できます。
4. 寝る直前に深呼吸・瞑想
リラックス効果が高いのが**「腹式呼吸」や「マインドフルネス瞑想」**。
深くゆっくりと呼吸をすることで副交感神経が優位になり、自然な眠気を誘発します。
5. 照明を落としてスマホは控えめに
検査前にスマホを見続けると、脳が覚醒しメラトニンの分泌が妨げられます。
できれば入眠30分前からは間接照明のみの空間で過ごすのがおすすめです。
寝れなかった場合の対応策・再検査について
実際に「全く寝れなかった」場合
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PSGでは、脳波に睡眠が確認できなければ“検査不能”とされるため、再検査が必要です。
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ただし多くの病院では、2〜3時間の睡眠でも必要なデータが取れれば検査は成立します。
再検査となる場合の流れ
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医師から「十分な睡眠時間が得られなかった」と説明がある
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次回検査日の相談・再予約(通常は1~2週間後)
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睡眠導入剤の併用を提案される場合も
睡眠導入剤は使っていいの?
一部の医療機関では、検査時に「軽めの睡眠導入剤(主にベンゾジアゼピン系やメラトニン受容体作動薬)」を併用することがあります。
メリット
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緊張を和らげ、自然な眠りに近づける
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中等度〜重度の不眠症を持つ人でも検査が可能に
デメリット・注意点
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呼吸抑制の副作用がある薬剤もあり、SASの重症化を一時的に見えにくくする可能性
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医師の判断なしに自己判断で服用するのは危険
※どうしても不安な場合は、事前に医師へ相談しましょう。施設によっては導入剤の持ち込み・使用が不可のこともあります。
自宅で行う簡易検査も選択肢に
「病院だと寝れない」「他人に見られると緊張する」という方には、**自宅でできる簡易検査(PG)**がおすすめです。
簡易検査のメリット
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普段通りの寝室で、自然な睡眠がとりやすい
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検査機器はコンパクトで、装着も比較的簡単
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緊張が和らぎやすく、“寝れない問題”が起きにくい
限界もある
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脳波を記録しないため、レム睡眠・ノンレム睡眠の把握はできない
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中枢型SASの判別には向いていない
重症の可能性がある方は、簡易検査でSASが疑われた後、PSGで確定診断という流れが一般的です。
よくあるQ&A:検査前・当日の不安を解消
Q1. 夜勤明けでも検査はできる?
→ 睡眠リズムが崩れていると、本来の無呼吸状態が観察されにくくなる可能性があるため、事前に数日間は通常の生活リズムに戻すことが推奨されます。
Q2. 寝つきが悪くても無呼吸はわかるの?
→ はい。短時間でも無呼吸エピソードがあれば診断は可能です。ただし、睡眠ステージが偏るとAHIの評価にブレが生じる可能性があります。
Q3. どうしても寝れないなら、前もって言うべき?
→ 正解です。**診察時に「不眠傾向がある」「検査中に寝れないかもしれない」**と事前に伝えておくことで、対策を講じてもらえるケースがあります。
まとめ:寝れなくても焦らない。準備と対策で検査を成功に導こう
「睡眠時無呼吸症候群 検査 寝れない」という不安は、誰もが抱えるものです。
しかし、寝れなかった場合でも、診断に必要なデータが得られるケースは多く、万が一再検査となっても、適切に対応することで正確な診断につなげられます。
本記事で紹介した対策を参考に、検査前の準備・検査中の工夫を行い、快眠と正確な診断の両立を目指しましょう。
参考・引用URL
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日本睡眠学会 睡眠障害の診断基準と検査指針
https://jssr.jp/data/pdf/guideline_sleepdisorder.pdf -
MSDマニュアル家庭版「睡眠時無呼吸症候群の検査」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/ -
アメリカ睡眠医学会(AASM)ポリソムノグラフィーガイドライン
https://aasm.org/clinical-resources/